業界再編の好機を逃すな 戦略的M&Aで、中小企業こそが再編リーダーとなる

どんな書籍にも、著者の情熱、熱い想いが存在する。彼らが本を「書かざるを得なかった」のは、いったいなぜなのか――。

著者インタビュー

業界再編の波は企業にとっての好機である。

東証1部上場 中堅・中小企業のM&A 実績No.1

Q. なぜ執筆を決意されたのですか?

2015年は、業界再編型M&A時代の幕開けの年と言われています。2000年以降、ほんの少し前までは事業承継型のM&Aが主流でした。60歳を過ぎたオーナーが、後継者がいない会社を引退に合わせて譲るというケースがほとんどだったからです。

けれどもここ2、3年の間に、20代、30代の若い方でも経営を譲渡するオーナーが非常に多くなっています。

近年、特に業界再編が活発化したのは調剤・薬局業界です。50代で年間数億円の利益が出ている上場企業のオーナーさんの場合には、医療の観点から業界をより良くしていきたいという想いから売却を決意されました。

業界再編型M&Aの場合、売却する側は経営を退くのではなく、そのまま経営に携わり続けます。そして売り主と買い主が一体となって企業の仕組みを再構築し、新たな業界づくりを目指すのです。そこが今までのM&Aと大きく違うポイントです。

調剤薬局、IT・ソフトウェア、住宅・設備工事業、製造業、卸・小売業など、どの業界にも再編の波は押し寄せています。どの企業もその好機をつかむチャンスがあるのです。

ただ、そのような理想的M&Aを実現するためには時期が非常に重要です。業界再編の動きが沈静化した後に売却を検討しても、結局売れずに、倒産することになってしまいます。そういう中小企業を少しでも減らしたいと思い、今回出版を決意しました。

「消極的M&A」から「戦略的M&A」へ。

Q. 業界再編型M&Aのメリットを教えてください。

かつてはM&Aというと、いわゆる大手企業が合併したり買収したり…といった、ちょっとマイナスな、ハゲタカ的イメージが強かったと思います。

また事業承継型のM&Aでは、ハッピーな事例というのは稀でした。

たとえば「がんになったので会社を手放そうと思っている」というような、消極的な理由で売却を検討する方が少なくなかったのです。

しかし、業界再編型では皆さんが100%積極的かつ、戦略的に取り組まれています。

たとえば社員にとっては、企業が大きくなることで全国で働く機会が増えたり、キャリアビジョンが広がったりする。オーナーにとっても、第二の人生をより良い形でスタートできるのです。ご自身が引退して老後をゆっくり過ごしたい、社員にチャレンジングな職場を提供してあげたい……あらゆるチャンスが増えるのが業界再編型M&Aなのです。

今、業界再編型M&Aが支持される要因は、オーナーがじっくり時間をかけて関係者全員のことを考えることができるからでしょう。皆がハッピーになるように、最大限メリットを感じられるように、綿密に計画を練る期間が確保されているので、結果的に全員のメリットが大きくなるのは必然です。

業界再編型M&Aの最大のメリットは、社長も社員も、皆が幸せになれることだと思います。

どんな業界も最終的に4社に絞られる。

Q. 業界再編は今後どのように進んでいくとお考えですか?

日本経済の流れから推測すると、最終的に業界内の企業は大きく四つに集約されていくと考えられます。私が学生の頃に読んだ日本経済の展望に関する本の中では、当時5社あったスーパーゼネコンは、最終的には3社になる、と書かれていました。既に10年くらい前には業界再編時代の到来が予見されていたのです。

私は、どの業界も最終的に4社に絞られていくと考えています。これは実際、世界的に見てもそうなんです。どの国を見ても、統合を重ねた結果残る企業はだいたい3社~5社です。ちなみに世界の大陸も5大陸ですしね。(笑)

これが逆に2社、3社くらいにまで集約されてしまうと、今度はバランスを取るのが難しくなりますから、やはり基本は4社ではないでしょうか。

そして、そこからはじかれてしまった企業は、その後業績は絶対黒字にはならないし、儲からなくなってくる。だから、弾かれた仲間同士で固まるか、あるいは大手と合併して、その再編に組み込まれるしかありません。

これらの動きによって、新しい業界もどんどん生まれてきます。実は調剤・ドラッグストアも比較的新しい業界です。元はと言えばコンビニも、タバコ屋さんや雑貨屋さんが姿を変えていったもの。また、コインパーキングも、個人個人の地主さんが所有していたものが、拡大して駐車場会社になり、さらに巨大化。現在では自動車リース会社を買収して全く違うカーシェアリングのビジネスまで立ち上るに到りました。そのように、業態自体が変わっていくというのは業界再編時代の非常に面白い特徴です。

あとは最近になって、業界4強ではなくて業界1強というのが非常に増えています。特にIT関係で見られる傾向ですが、検索であればグーグル、ショップだったらアマゾンとか、それはもう一人勝ち、一つしか勝てないというのがネット業界では顕著なんです。

他の業界でも4強ではなくなる時代がいつか来ると予想しています。

業界再編の波に乗るため、業界について学び、自社の企業価値を知ろう。

Q. 今後、業界再編の波に、どのように対応したら良いのでしょうか?

方法は二つあります。一つはやはり、業界全体やその周辺のことについて知ること。M&Aというのは、基本的には短期間で急速に成長している企業が買い主になります。成長している同業者が、どういう意図を持って拡大しているのか?は情報収集の際の必須項目です。

たとえばコンビニもいまや「販売」するだけではなくて、宅配やクリーニングといった、いろんなサービスの「拠点」になりつつあります。このように、同業で成長している会社がどのような経営戦略を持っているのかということは、知っておくべきでしょうね。

そしてもう一つの方法は、企業を経営する上で、「企業の価値」を知ることです。

これは会社を買おうとされている方も、売ろうとしている方も同じです。会社を買うにせよ、売るにせよ、まず自社の企業価値はどのくらいあるのか?を知らずには先へ進めません。

オーナー社長の幸せを願う渡部氏。
その手帳には全国の社長との予定が詰まっている。

私がいつも売主さんに、自社の企業価値について尋ねてみると、みなさん相場よりかなり高く見積もっていらっしゃる場合と、反対にとても低く考えていらっしゃる場合、両極端な回答が大半です。

まず自社の価値を知らなければ、他社の価値を試算するというのは、とても難しいことだと思います。ただ単に毎年の決算書を見ているだけではなく、組織としての構造や、長期的な方策などを総合して、自社の姿を正確に把握することが重要です。

そのうえで、今後新たにM&Aを考える経営者の方には、常に業界の状況を俯瞰しながら、ベストなタイミングを掴んで頂きたい。

そして一人でも多くのオーナー社長が、M&Aによって幸せになってほしいと願っています。

「業界再編時代」のM&A戦略

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