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「誇り」の国のデザイナーたち

キャスパー・サルト

なぜ多くのプロダクトデザイナーが生まれるのか。
なぜ福祉や環境対策が手厚いのか。
なぜ社会が安定していてゆとりがあるのか。
北欧は意外に「なぜ?」の多い国々です。
訪れたのは初めてだったこともあり、そうした「なぜ?」を探りつつ、「素直に感じた北欧を素直に表現する」ことを編集方針に決めました。
実際の渡航で、それらの疑問がすべて解明されたわけではありませんが、「なぜ?」に対する答えの一端に触れることができたような気がします。

4人の素敵なデザイナー

本書の目的は、北欧プロダクトデザインについて、その背景をあぶりだすこと。

14人以上のデザイナー、10社以上のブランドを取材させていただきましたが、なかでも印象的だったのは、ヘルシンキの両雄ハッリ・コスキネンとステファン・リンドフォース、ストックホルムの貴公子ビヨン・ダールシュトローム、コペンハーゲンの注目株キャスパー・サルトの皆さん。少年のようにはにかむハッリに対し、刺青がまぶしいステファンは勢いよく自分を語り、気品溢れる穏やかな紳士ビヨンはあたたかく、自転車で現れたキャスパーは秘めた情熱人でした。

彼らばかりではなく、すべてのデザイナーやブランドに関わる人々は誰もが気さくで、自分たちの仕事をわきまえ、国や自分や仕事に誇りを持っており、どんなに穿って考えてもそこには虚栄や安っぽい野心が感じられない。そうした精神風土のなかに北欧の「なぜ?」に対する答えが秘められていると感じました。

ハッリ・コスキネン/ステファン・リンドフォース

多くの美味に遭遇

どの国々も食事の美味しさには驚くばかりで、味はもちろん料理を飾るテーブルウェア、レストランやカフェのインテリアにも目が惹かれます。取材と称してさまざまなレストランやカフェを訪れましたが、その美味ぶりに仕事を忘れてくつろぎ、その日の疲れを癒して翌日への活力にする。そんな日々を2週間過ごしましたが、和食が恋しいと思うことは一度もありませんでした。
同じ北欧でも、今回訪れたフィンランド、スウェーデン、デンマークはそれぞれに特徴があり、フィンランドは「人見知りではあるが、中に入るとこの上ないあたたかさが待っている」国。スウェーデンは「気品があって誇り高いけれど、やさしさにあふれる」国。そしてデンマークは北欧のラテンといわれるだけに「気さくでオープンマインド」な国という印象です。
短い時間ながら、私たちが自分の目で見て聞いて感じた北欧を詰め込んでいる『北欧物語』。これをきっかけにして多くの方に北欧への興味を深めていただきたいと思います。

ビヨン・ダールシュトローム