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青木達也は銀行員として勤めた後、幻冬舎メディアコンサルティング(以下、GMC)のシニアコンサルタントとして、1000人を超える経営者と事業戦略について意見を交わしてきた。今回はその青木に、ベンチャー・スタートアップ企業のブランド戦略・ブランディングをテーマにインタビューを行い、スタートアップ期にぶつかる壁や、ブランディングにおいて考えなければいけないポイントを語ってもらった。

勝ち残るベンチャー・スタートアップ企業の共通点とは?

― GMCは現在に至るまで800社以上のブランディング支援を行ってきたわけですが、ベンチャー・スタートアップ企業の経営者が抱えている悩みとして多いのはどのようなものでしょうか。

青木:多くの経営者は「勝てる戦略」を十二分に練ったうえで起業しているため、短期的な目標には到達しています。しかし、その成功を継続させるにあたって壁にぶつかってしまったという悩みを多く聞きます。

コネクションを使った営業活動の頭打ち、事業拡大にあたっての人材不足、優秀な幹部社員の離脱など、起業前に予想できるリスクから、大手企業の参入、より安価で大きな付加価値を持った競合商材の台頭、原価の大幅な上昇といった予期しえない問題まで、ご相談はさまざまですね。

私が皆様に共通してお話しさせていただいていることは、早期ブランディングの重要性です。設立間もない企業の経営者にこのように申し上げると「ブランディングを検討するにはまだ事業モデルが完成していない」「売り上げが拡大し、従業員が増員できてから、その次の段階としてブランド戦略を立案・検討したい」とおっしゃる方が多いことに驚かされます。
これはブランディングがもたらす価値について、正しい認識がなされていないことが原因ではないかと考えます。
これまで1000を超える企業の経営者とお話しさせていただくなかで、設立後早期に成功を収め、瞬く間に大手企業を脅かす企業のトップに共通していると感じることは、早期ブランド構築のメリットを十分に理解しているということです。

― 早期ブランド構築のメリットとは、具体的にどのようなことを指すのですか。また、それはどんな企業にも当てはまることなのでしょうか。

青木:ブランド構築のメリットは多岐にわたります。「特定分野のプロフェッショナル企業」と認識させてしまえば、多額の広告や成果の不安定なPUSH型営業に頼らずに売り上げを拡大できるようになるだけでなく、新たなサービスのローンチやリクルーティング活動にも好影響を与え、結果として中長期的に大幅なコストと時間の削減を実現し、早期に業界内の地位確立が可能となります。

ポイントは、自社が勝てる「特定領域」におけるブランディングを図ることです。いきなり誰もが知るNo.1企業になる必要はないのです。

特に印象に残っているものとして、『世界一わかりやすい「公務員」の不動産投資術』という書籍があります。書籍を出版した株式会社 Ton Ton様は、早くからターゲット戦略に重きを置いており、設立2年目の年、新たな層へのアプローチのため、「公務員」のコンサルタントとしてのブランディングに着手しました。代表にお話を伺ったところ、出版後まもなく公務員からの問い合わせが相次ぎ、他社と比較されることなくスムーズに成約へとつなげることができたとおっしゃっていました。「不動産投資のプロ」ではなく、「公務員のための不動産投資のプロ」としてのブランディングを確立し、信頼を獲得してマーケティングを成功させたのです。

このように、非常に重要な課題であるにも関わらず、多くの経営者が早期ブランド構築に着手していません。「ブランディング・ブランド戦略=大手企業のもの」と誤解してしまっているのではないかと考えられますが、これは本当にもったいないことです。

― 早期ブランド構築の効果を物語る事例といえますね。では、IT・WEBのような移り変わりの早い業界ではどのようにブランド構築を図るべきでしょうか。

青木:変化の早い業界では、自社の経営理念を軸にブランド構築を図ることをお勧めします。スマホアプリのヒット作を生み出した場合をイメージしていただくとわかると思いますが、コンテンツは有名になっても、それを世に送り出した企業と経営者の認知は高まりません。そうなると、新しいコンテンツをリリースしたときにまたゼロから知名度を上げていかなくてはならず、これは非常に効率が悪いのです。

しかし、”ヒットコンテンツを生み出す企業(あるいは経営者)”としてのブランドが一度確立してしまえば、その価値はトレンドや業界の変化に左右されないものとして残り続けます。企業の戦略として、今売れているサービスの販促に全てを注ぐのではなく、企業が持つ強みを伝える取り組みが重要なのです。

― 変化の影響を受けないブランド(=価値)を書籍出版で構築するのですね。ところで、企業出版よりも自費出版の方が一般的に広く知られていると思いますが、企業出版と自費出版の違いというのはどのような点にあるのでしょうか。

青木:自費出版と企業出版の最大の違いは、そこに読者が存在するかどうかです。自費出版は自伝や年史など、出版すること自体に目的を置いた書籍に向いています。ここにおいては読者の存在は重要ではありません。自身の伝えたいことだけを考えれば良いのです。
一方、企業出版では集客、差別化やリクルーティングなどの最終目的を達成するための手段として書籍を制作します。スタートアップ企業のブランド構築を目的とした出版であれば、一方的に経営者自身を紹介するだけの自伝では、事業に繋げていくような成果を得ることは難しいでしょう。マーケットインで発信すべき情報を練り上げ、競合の強み・弱みなどを分析したうえでの差別化ポイントと、情報の受け手が欲している情報を戦略的に織り込む必要があります。

― さらなる集客や事業規模拡大のためのリクルーティングを目的とするなら、書籍ではない媒体、例えばウェブや新聞広告など、さまざまな情報発信媒体がありますが、書籍ならではの強みはどのような点にあると考えますか。

青木:信頼性と情報量の差が挙げられます。例えば、新しい家を建てようと思ったとき、キャッチーなバナー広告を見たからといって、それが高額な家をその企業から買うことの決め手になることはありませんよね。BtoCであれ、BtoBであれ、購入を決めるには信頼できるかどうかを判断でき、納得できるだけの情報量が必要となるのです。書籍であれば、出版社、取次ぎ業者、書店などの複数の目を通して審査されていることにより、情報の信頼性が担保されています。さらに読み進めていく過程において、その問題の背景や解決のために必要なアクション、頼るべき専門家の見定め方まで伝えることができます。そういった情報は、通常は営業マンの頭の中に入っているものですよね。いわば「営業マンの分身」として幅広い情報をカバーできる媒体は、書籍以外にはないと思っています。

出版不況と言われる中、企業出版をし続ける理由とは

― 書籍の売り上げは年々減ってきていると言われていますよね。そんな中、あえて出版で企業のブランディングをし続ける理由は、どんなところにあるのでしょうか。

青木:書籍全体の売り上げ自体は、確かに減ってきています。しかし、売り上げが減っているのは小説などエンターテインメント性の強い書籍であって、実用書については以前とそれほど変わりません。娯楽を除いた人の悩みや好奇心は変わることないのです。また、ウェブ全盛の時代だからこそ、書籍の効果が際立つとも考えています。例えば、当社からウェブ制作会社のブランディングのための書籍を2~3冊出版しています。ウェブ制作会社ですら、ウェブ上の情報発信だけでは情報量・信頼性ともに不十分である、という認識をもっているのです。

― 書籍ならではの強みである信頼性と情報量というのは、ウェブやその他のどのような媒体も備えていないということですね。それでは、企業出版をするにあたって、シニアコンサルタントとしてどういったところに力を入れていますか。

青木:企業出版で成果を出すには、切り口(魅せ方)とターゲティング戦略が重要です。世の中をアッと言わせるような新しい考え方を持っている企業も中にはありますが、そういった企業はごく一部です。私どもはヒアリングを何度も重ね、経営者のキャラクターであったり、その企業の組織づくりや特徴から、企業の強みを抽出していきます。企業の強みを抽出・拡大し、キャッチーにインパクトをもって市場に広めていく企画づくりは、私どもにしかできない仕事です。

そしてターゲット(見込み客)にその情報を届けるには、ターゲット(読者)に「自分」の知りたいことを教えてくれる書籍であると感じさせる必要があります。数ある書籍やその他媒体上の情報の中でも、まさにこれは自分のために書かれたものだと思わせるような書籍でなければいけません。「とにかく多くの人に届けたい」というご相談をいただくこともありますが、それが正しいかどうかはプロジェクトのゴールによります。「とにかく多くの人に知らしめる」よりも、「成約に繋がる可能性のある人に深く知らしめる」ことの方がゴールの実現に近いケースも多いのです。では、そのターゲットとはどのような人でしょうか。経営者・役員、現場マネジャー、男性か女性か、子を持つ親、シニア、年収●●万円層……。彼らは普段何に関心を持って、何を毛嫌いし、何の情報を欲しているのでしょうか。ターゲット戦略は企業のステージによって変わってきますが、伝えたいコンテンツありきは避けるべきですね。

幻冬舎ならではの強みとは

― 企業出版を行っている出版社は他にもありますが、幻冬舎ならではの企業出版の特徴や強みはありますか。

青木:幻冬舎のブランド力が挙げられます。幻冬舎というのは「どんな本に仕上げてくれるのか」という期待を持たせてくれる出版社だと思っています。幻冬舎は新しく刺激的な何かをしてくれというイメージが強く、どの出版社よりもインパクトのある出版物を発信し続けることができるのです。

素晴らしい理念やサービスを持っているスタートアップ企業はたくさんあります。そして、書籍を通じてそれらを広く世に知らしめ、ブランディングを成功させるのは私どもの仕事です。これからも世間をアッと言わせるような書籍を作り続け、企業と読者双方に満足してもらえるよう、一丸となって進み続けようと思います。

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