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危惧される産婦人科医の不足――その理由とは?

著者:GMCブランド戦略室

ご存知の方も多いと思いますが、現在医療業界において産婦人科医の減少が大きな問題となっています。
特に首都以外の地方では、千葉、福島を含む9県で35歳未満の若手の医師の割合が低く、将来的にも見通しが立たないような状況に陥っています。

この件に関して、読売新聞のウェブコラムには以下の情報が掲載されています。

全国9,702人の産科医の年齢(今年3月末時点)や、昨年の出産件数などを調べた。人口10万人当たりの産科医数は、茨城が4.8人で最も少なく、最も多い東京と沖縄の11.1人と倍以上の開きがあった。

また調査では、35歳未満の割合、産科医1人当たりの出産件数など6項目で全体的な状況を見た。福島、千葉、岐阜、和歌山、広島、山口、香川、熊本、大分の9県は6項目全てが全国平均よりも悪く、「今後も早急な改善が難しいと推測される」とされた。
(読売新聞医療サイト「yomiDr.」 2014年9月22日 読売新聞)

産婦人科医の不足と減少は私たちが思っているよりも深刻であり、早急な対応が求められているのです。

 

産婦人科医が不足している要因

では、このように産婦人科医が他と比べて大幅に減少してしまった理由とは何なのでしょうか。

大きな理由としては、日本の出生率の減少が挙げられます。少子高齢化社会において、子どもを出産する妊婦の数が減少しました。そのため、若手の医師は産婦人科医が将来的にもてあまされるのではないかと危惧し、産婦人科医への道を選択しなくなってしまったことに問題があります。
実際、現場で働く産婦人科医は50代から60代の医師が多くなっており、若手の医師の需要は健在なのです。

また、福島大野病院事件は現在の産婦人科医不足に拍車をかけた一面もあります。

「福島県立大野病院産科医逮捕事件」2004年12月17日に福島県双葉郡大熊町の福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた産婦が死亡したことにつき、手術を執刀した同院産婦人科の医師1人が業務上過失致死と医師法違反の容疑で2006年2月18日に逮捕、翌月に起訴された事件です。(ウィキペディアより)

この事件をきっかけに産婦人科に対するマスコミの評価が厳しくなり、それに合わせて大衆の産婦人科に対する見方もネガティブになりました。その影響で、自ら産婦人科医を辞職し診療科を変える医師が続出したといわれています。

 

現場のありかたを考える

このような状況の中でいま「妊婦のお産は必ずしも安全が保証されているものではない」という現場からのメッセージを発信することが重要になると考えられます。
確かに、産婦人科医の立場として「お産は危険なものです」というメッセージを発信すること自体、疑問に思われるかもしれません。妊娠で精神的に不安定な妊婦を安心させることが医者の勤めである、と考えている方もいらっしゃることでしょう。

しかし、お産のプロである産婦人科医の言葉だからこそ、不安を抱えている妊婦に正しい情報を伝えることができ、妊婦も正しい情報を得られるからこそ、安心して出産に臨むことができるのではないでしょうか。

さらに産婦人科医に対するイメージを払拭することで、若い医師がより産婦人科医への道を選択しやすい環境を作ることができます。結果として、問題となっている産婦人科医不足の解消にも繋がると考えられます。

産婦人科医が不足している今だからこそ、一冊の書籍を通じて業界の正しい情報や妊娠・出産に対する正しい知識を発信していく必要があるのではないでしょうか。

 

幻冬舎メディアコンサルティング

伊藤 美月

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