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日本で「女性活躍」はほんとうに可能か?

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、「女性活躍推進法」が国会で成立したのは、平成27年8月28日のこと。
国会でも引用され、流行語大賞にてトップテン入りを果たした「保育園落ちた日本死ね!」が匿名ダイアリーに投稿されたのは、翌年の平成28年2月15日。

「保育園落ちた~」がほんとうに待機児童問題・キャリア形成の挫折に悩む母親によって書き込まれたものかどうかは別として、女性の社会進出が注目される昨今ですが、果たして、その土壌は整備されているのでしょうか。

平成29年5月現在までの国家の取り組みを振り返ることで、その課題と問題点を今一度見直してみましょう。

「えるぼし」とは

既述のとおり、「女性活躍推進法」が成立したのは2年前。
その概要は、
(1)国・地方公共団体、301人以上の大企業は、女性活躍に関する情報公開の義務が課され、
(2)女性活躍推進に関する取り組みにおいて優良と判断された企業は「えるぼし」認定を受けられる、というものです。

「えるぼし」認定制度の正式名称は「女性活躍推進法に基づく認定制度」。
その内容は、①採用、②継続就業、③労働時間等の働き方、④管理職比率、⑤多様なキャリアコースの5つの評価項目の、それぞれ定められた実績値をもとに、女性活躍推進に貢献している企業を認定するものです。
この認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マーク「えるぼし」を商品などに付すことができます。

「えるぼし」という名には、Lady(女性)、Labour(働く、取り組む)、Lead(手本)などさまざまな意味を含んだ「L」や、星のように輝く女性への「エール」といった意味が付されています。 この「えるぼし」マーク、就職活動中の女子大学生であれば、採用サイト等で見かけたことがあるかもしれません。
もしくは、女性の社会進出、労働環境に感度の高い人が、認定企業のサイト上で見たことがあるかもしれません。
しかし、一般レベルではいまだに認知率が低く、このマークを頭で描ける人は多くはありません。

そして29年3月31日時点で、全国の「えるぼし」認定企業数は291社。
統計局による日本の企業数は、26年時点で570万社(個人、ペーパーカンパニー等含む)。JPXによる、29年5月8日現在の国内上場企業数は3,352社。認定企業はまだ少ないといえるでしょう。

女性の「活躍」とは?

以上のように、女性が働きやすい社内環境かを知る手立てとしての「えるぼし」認定制度は、まだ発展途上にあります。
では、その未発達な土壌で女性はどのようにすれば活躍できるのでしょうか。
そもそも、女性がどうあれば、活躍していると定義づけることができるのでしょうか。

妊娠した場合、女性は一時的に職場から離脱せざるをえません。
無事にこどもが産まれてからも、育てるという営みは続きます。
妊娠・子育てという幸福の裏には、仕事を続けるかどうか、続けるにしても同じ働き方ができるのか、あらゆる悩みが女性にはつきまとうものです。
現在のキャリアと結婚(に紐づく妊娠・子育て)は、常に天秤にかけられているのです。
両方を実現することが奇跡的成功体験のように語られてしまう現状は、決して誇らしいことではありません。

かといって、女性皆が皆、両方を実現することを理想像としているとは限りません。
家庭に入り、パートナーを支え、家事や子育てに尽力することを活躍と捉えることもできるでしょう。 結婚・妊娠をせず、労働をきわめることもまた活躍です。
本人の満足できる選択をして、彼女の実力・能力が発揮されていれば、それは活躍といえるのではないでしょうか。

では、その両方を実現したいと願う女性はわがままなのでしょうか。
どちらかの選択を迫られて、選ばなかった道は、二度と通ることはできないのでしょうか。

日本社会の現状を鑑みると、両方を実現することができるとは、気安く言うことはできません。
待機児童問題、保育士・医師不足、労働時間、産休・育休取得率―。
女性の活躍を阻害するワードは日々ニュースを騒がせています。

これらの問題の根は、女性だけで抱え、女性だけで解決できるものではありません。 日本が抱える病なのです。

海外の女性活躍を取り巻く状況

この女性活躍の問題は、決定的な解を得ない先進的な問題です。
男女雇用機会均等法が施行されたのは、昭和61年のこと。
近代的な男尊女卑の社会から、じわりじわりと女性の権利が認められて現在に至ります。

合計特殊出生率と女性就業率とが日本よりもずっと高い国々が集まっているのが、ヨーロッパです。
合計特殊出生率1.89、女性就業率が85%を超えるフランスや、それぞれ1.9、82%のスウェーデンなど、前者が1.27、後者が69%の日本と比べると、その差は明らかでしょう。
これらを実現している要因として、労働組合の強さ、休暇の多さ、フレキシブルな就業時間、役員の女性比率が4割を下回ってはならない「クオーター制」などが挙げられます。

この好例からいくつか取り込むべき点はあるかもしれません。
しかし、日本が先進国であるがゆえに、そのまま移植することはできません。

ヨーロッパでは、深夜まで営業しているような店は日本ほど多くはありません。
皆がゆとりをもって働けるということは、自分が消費者側に立ったときにその弊害を感じてしまうものです。
街を歩けば必ずコンビニエンスストアがあり、深夜にもスーパーマーケットの照明が煌々と光を放つ日本が、ヨーロッパ的な消費生活に戻れるでしょうか。

日本の女性はどうすればいいのか

現状の日本において、女性がキャリアと家庭の両方を実現するという意味での活躍は、可能とは言い難いでしょう。
どちらを選択する、または比重を置くか、自分自身の決断と裁量に委ねられています。
とはいえ、ともに家庭を築くパートナー、家族という身内はもちろん、社内の人間にはぜひ相談したいものです。
日本という国家の体質を今日明日で変えられはしませんが、自分の周囲はなんとか動かせるかもしれません。
やってみれば、なんらかの反応がかえってくるかもしれないのです。

弱者や危機にいち早く気づき手を差し伸べられるのは、国家ではありません。
身近な人間が気づいて、NPOなどの団体がうまれ、報道などでやっと世間の目にとまるのです。
国会や法律が動き始めるのはそれからでしょう。

日本が豊かになって久しいものの、こと女性の権利となるとまだ貧弱な側面は否めません。
女性が当たり前に活躍できる土壌が整うよう、今は自分たちの手で、少しでも耕していくしかないのです。

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