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2025年問題解決のカギは「シニア人材」

著者:GMCブランド戦略室

2025年問題とは、いわゆる“団塊世代”が2025年頃に後期高齢者(75歳以上)となることで起こりうるさまざまな問題のことを指します。
2025年には5人に1人が高齢者という、人類が未だ経験したことのない「超・超高齢者社会」に日本は突入していくのです。

社会の超高齢化に伴い、認知症患者の増加や医療費の増大に伴う財源確保の問題、被介護者に対する介護従事者の不足問題があり、これまで国を「支えてきた側」の団塊世代が医療・介護、福祉サービスを受ける「支えられる側」となるのに、これを「支える」世代が、圧倒的に不足しているのです。

シニアは「生涯現役」を希望している

しかし、団塊世代は果たして「支えられるだけ」なのでしょうか?
2025年問題は高齢者が働けないことが前提になっていますが、すべての高齢者が認知症や病気にかかり不健康である、というわけではなく、心身ともに健康で「働きたい」と就労を希望する高齢者は約7割いるという調査結果があります(内閣府調査「平成28年版高齢社会白書」)。

また、日経BPビジョナリー経営研究所と日経BPイノベーションICT研究所が日本にいる15歳以上(高校生以上)から69歳までの男女3410人を対象に2013年に行った調査によると、「いつまで働きたいか?」に対して「体が動き続ける限り、働きたい」という回答が最も多く、40.4%に上り、60歳以上であっても4割の男性が「生涯現役」を希望しているとの結果が出ています。

この働きたい意欲を持つ高齢者が「シニア人材」となり、2025年問題解決のカギとなるのです。

シニア人材を活用する企業

実際に現在「シニア人材」を活用して事業を行っている企業は少なくなく、株式会社かい援隊本部は、2025年には100万人不足するとされている介護人材をシニア雇用によって確保しています。 介護の仕事は若者の仕事というイメージを覆し、高齢者を人材として活用することで、介護人手不足と高齢者の雇用問題という2つの問題を同時に解決しようという試みを成功させています。

CN総合コンサルティングは代表の中原千明氏も定年退職後に起業し、各分野の専門知識をもったシニア人材雇用と活用を自社サービスの中核に置き、2008年の会社設立から、黒字経営を続けています。

シニア人材活用のポイント

このように、シニア人材活用によって業績や成功を生み出している企業があるのに、多くの企業が具体的な実施を行えていないのが現状です。 日本政府も2025年問題に対する施策として、高年齢者雇用安定法の改正などを行ってはいますが、暫定的なものでしかありません。 シニア人材活用に重要となるポイントは、企業側がシニア雇用を“福祉の一環”ではなく“経営戦略”として捉えることです。 数合わせ的な雇用ではなく、「生涯現役」を前提とした人事・賃金制度を設け、経済合理性に適うようなシニア雇用を目指さなければなりません。 現在日本シニア人材雇用の主流となっている、「継続雇用制度」はあくまで経過措置として考えなければならないのです。

また、近年話題となっている、多様な属性の労働者がそれぞれの能力を発揮し、異なるアイデアが刺激し合うことでイノベーションが起こる、「ダイバーシティー」の理念がシニア人材活用の真の意義となることを忘れてはなりません。 人生での豊富な知識や経験を持っている高齢者が若年者の経験の浅さなどを補う、「補完関係」が成り立つことで、企業内の活性化にもつながるのです。

そして、2025年に限定せずこれから慢性的になる「超・超高齢者社会」の継続的な解決策は、“未来の高齢者”の育成です。 2025年は目前で、今日本で起こっている「超・超高齢者社会」は誰一人として無関係ではありません。 現状にあるシニア人材活用を見直し、企業は「生涯現役で働ける会社にするために」、わたしたちは、「生涯現役でいるためにどうするか」という意識改革が求められているのではないでしょうか。

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