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自宅での「看取り」。在宅医療の中の「看取り士」という存在

著者:GMCブランド戦略室

“多死社会”と在宅医療

日本の年間死亡者数が110万人を超えている現在、団塊世代が平均寿命を迎えると、その数は170万人にものぼります。自宅での看取り率が80%以上であった1950年代に比べ、現在は10数%にとどまっています。

したがって、病院での看取り率は80%を超えているのが現状です。
つまり、“多死社会”と呼ばれる2040年頃になっても、「病院で看取られている」現状に変化が無い場合、約40万人は誰にも看取られない“孤独死”になると予想されるのです。

昨今では、たとえば「地域包括ケアシステム」など、地域の医療機関との連携を強化しながら、自宅で介護を行う「在宅医療」の普及をすることで、迫りくる“多死社会”に向けた対応を急いでいます。

このように、在宅医療の必要性が喚起されてはいますが、一方で実際に在宅医療および自宅での看取りを担う人材の育成の点はどうでしょうか。つまり「一体誰がその自宅での介護を行うのか」という“担い手”の問題です。

 

「看取り士」のニーズ

現在の介護保険制度では、訪問介護士や看護師が在宅支援を行いますが、その時間は1日のうち約4時間程度。
在宅支援を受けている家庭において、残りの約20時間はそのご家族が自宅で付きっ切りで介護を行わなければなりません。

それに対し、24時間のサポートを可能にする存在に「看取り士」という仕事があります。
看取り士は、余命宣告を受けてから納棺まで、自宅での看取りに付き添い、支援を行います。
病院で何本ものチューブや人工延命装置をつけるよりも、自宅などの慣れ親しんだ場所で自然に息を引き取りたいと希望される方、つまり「病院死」ではなく、「自宅死」を選ばれる方に寄り添いながら、在宅支援を行うのです。

ご家族も含め、自宅での介護支援が出来る「看取り士」は、在宅医療の普及に伴い、今後さらに必要となる存在です。しかしながら、現在の看取り士は全員、看護師や介護士を兼職しており、その上サービスは保険適用外である等、 そのビジネスモデルの確立がされていないのが現状です。

 

超高齢化社会に向けて、その“体制づくり”だけではなく、“担い手”、つまり「看取り士」の育成も同様に求められます。
在宅医療においては特に、誰が介護を担い、誰が看取りをするのか、その「人」という部分にもっと焦点を当てなければなりません。社会システムの構築していく中、ある問題への注意喚起だけではなく、その人材確保のためのメッセージ発信も求められているのではないでしょうか。

 

幻冬舎メディアコンサルティング

野村 美紀

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