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企業レシピ本からみるブランド戦略

著者:GMCブランド戦略室

ブランディング手法として見る企業レシピブーム

2010年のタニタから始まった「企業レシピ」ブーム。
カルピス、ミツカン、エスビー、味の素などの食品、調味料、飲料メーカーだけでなく、調理器具メーカーのマイヤー、化粧品のPOLA、製薬会社のロート製薬の他、パナソニック、三菱電機などの家電メーカーや東京電力などの電力会社に、ホンダ、ブリヂストン、ユニクロ、日本マイクロソフト、三井住友銀行なども加わり、企業のレシピ提供は大きな広がりを見せています。
タニタのように書店に並ぶレシピ本の他にも、来店者プレゼントとして活用するケースや、webサイトやアプリを使うケースなど様々です。

食と関係させた情報発信は、話題づくりというだけでなく、「安心」「信頼」のイメージを醸成することができます。化粧品メーカーや製薬会社もレシピ本制作により、「健康に気を配る企業」としてのブランディング効果が期待できます。食とは直接結びつかない企業も、様々な手法でブランディングを図っています。

自動車メーカーなどは、一見すると、料理と関係ないのでは?企業のブランディングに繋がっていないのでは?と疑問に思いますが、中身を見てみると、企業の狙いも見えてきます。
ホンダが提供するレシピは、車やアシモをあしらったキャラ弁レシピをはじめとする、家庭で作れるお弁当レシピです。これは、「ホンダ=家族で出かける際のパートナー」というイメージの醸成、親を通して子どもにもホンダの車に親しんでもうためのブランディング戦略です。
ブリヂストンは、タイヤをモチーフとしたケーキやハンバーグなどのレシピを提供。こちらも、“ブリヂストン=タイヤ”というイメージ強化戦略のひとつと言えそうです。
ユニクロは食・ファッション・音楽を融合したスマートフォン向けアプリの提供により、「常に“着る人”の日常生活に寄り添い、豊かにする服」というユニクロのコンセプトを多角的に訴求する狙いがあります。

 

イメージアップ、一般層認知との相性の良さ

「食」と組み合わせたイメージ戦略は、「企業としての信頼感」の醸成という効果を生むだけではありません。
多くの人にとって関心ごとであり、身近なテーマである「食」を切り口にすることで、社名、企業理念の一般層への認知向上に大きな効果が得られます。
社名と合わせて、「アットホームで面白いことをやっている会社」というブランディングができたタニタは、レシピ出版後、転職人気ランキングで100位以上順位を上げ、名だたる大企業で溢れるtop50にランクインしています。
「商品は認知されているが、社名が認知されていない」ため、売り手市場下の採用活動に課題を抱える企業も増えており、一般層への認知向上、ブランドイメージの訴求は、BtoB領域の企業にとっても重要性が増していると言われています。

 

高齢化の影響を受け、「食と健康」へ関心は更に高まる見通し

タニタのレシピ以降、メーカーだけでなく、女子栄養大学、東京足立区の給食室といったメーカー以外の団体とコラボしたレシピ本が出版されており、特に2013年に関しては、国立循環器病研究センターの減塩低カロリーレシピを掲載した、『国循の美味しい!かるしおレシピ』が累計25万部を突破した他、『せんぽ東京高輪病院500kcal台のけんこう定食』、『聖路加国際病院の愛情健康レシピ』など、美味しく、健康にも配慮された病院食を扱った書籍がヒットしました。
高齢化の影響を受け、「食と健康」への関心は今後更なる高まりが予想されます。

身近なテーマであり、かつイメージアップを可能にするテーマはレシピだけではありません。
闇雲にブームに乗ることなく、どんなイメージを醸成したいかという目的に合わせ、自社に合ったブランド戦略の設計が重要です。

 

企業レシピ本タイトル
・女子栄養大学のカフェテリア カンタン今日のごはんはこれで決まり

・POLAの美肌食堂 ~体の中から美しくなるアンチエイジングレシピ~

・ロート製薬のスマートごはん (製薬会社のオリジナル家庭薬膳料理)

・再春館製薬所 ニッポンいちの社員食堂―女性社員800人の健康・美・やる気を引き出す

・日本マイクロソフトの社員食堂 野菜たっぷり! デリレシピ63

・アルソア化粧品 オーガニック社員食堂の美肌ごはん

・山王病院の女性ホルモンでキレイになる定食

・おもいやり食堂 健康レシピ - NTTグループの社員食堂

・マイヤー電子レンジ圧力鍋で作る野菜たっぷりレシピ

・東京ガスのお弁当レシピ おいしい火かげん

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